高木剪定の方法
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高木剪定の方法
植木屋さんの間でも、「松の手入れは難しいから」とか、「松ができれば一人前」という声をよく聞きます。確かに他の植木に比べてマツの手入れは難易度が上がります。しかし一方、素人でも自分で手入れをなさっている方が数多くいらっしゃいます。
庭木が活動を開始する春に備えて、不要な枝を切除したり葉を大幅に減らすような大がかりな剪定(基本剪定)を行うことが多いです。
冬季剪定という名前ですが、新芽が育つのが5月ごろの庭木の場合は、3~4月の春に行うこともあります。・夏季剪定
伸びすぎた枝や葉を剪定して樹木全体の形を整えるのが目的の軽剪定を主に行います。
夏季の軽剪定は、通気性や日照をよくし、枝を短くすることで台風で枝が折れるのを避ける効果もあります。
種類別の適切な剪定時期
基本の剪定時期について説明しましたが、庭木の種類によってよいとされる剪定時期は若干違ってきます。
常緑針葉樹の剪定時期
庭木として主なもの
・スギ
・マツ
・マキ
・ゴールドクレスト
・コニファー類
新芽が育つ前の3月~4月が基本剪定におすすめの時期です。
寒さに強い種類なので、冬でも剪定可能ですが、新芽が動く前の春の剪定のほうがバランスの良い枝葉に成長させることができます。
生垣に使用されていることも多い常緑針葉樹ですが、形状をきれいに保ちたい場合は、夏や秋に軽剪定をして整えるのもOKです。
常緑広葉樹の剪定時期
庭木として主なもの
・キンモクセイ
・サザンカ
・ツバキ
・カシ
・サツキ
暖かい時期が基本剪定に適しています。
3月下旬~4月下旬の新芽が出る前か、5月下旬~6月の新葉が落ち着いたころがおすすめです。
寒さに弱い種類なので、11月~2月に基本剪定をするのは絶対に避けましょう。
8月~10月は軽剪定ならOKです。
暑い時期に強い剪定をしてしまうと成長しづらくなりますが、あまり大きく育てたくない場合はあえて基本剪定をしてもいいでしょう。
また、関東以南の暖かい地域なら、9月~10月に基本剪定をしても問題ありません。
落葉広葉樹の剪定時期
庭木として主なもの
・アオハダ
・アオダモ
・ヤマボウシ
・ハナミズキ
落葉後の木が休眠している寒い時期に基本剪定をするのが基本です。
葉がすべて落ち、枝の状態がわかりやすい12月~2月がおすすめ。
3月、6月、9月、10月は軽剪定ならOKですが、活動が活発な4月、5月、7月、8月は、樹液が流れ出て木がダメージを受けてしまうため剪定自体を避けたほうがよいでしょう。
どの枝を切ったらいいの?
剪定は樹の生育を妨げる不要な枝を切る作業ですが、どのような枝が樹にとって不要なのでしょうか。
枯れている枝はもちろん、見た目が悪い枝や、重なるように近い位置に生えている枝も、栄養を奪い合ってしまうためどちらかを切る必要があります。
このように、樹の生育を妨げ、美観を損なう枝を「忌み枝(いみえだ)」と言います。
忌み枝にはいくつかの種類があり、これに当てはまる枝が樹にとって不要な枝です。
忌み枝の種類
◆基本的に切る忌み枝
・枯れ枝
枯れている枝。美観を損ね、病害虫を発生させたり風で突然折れて落下したりする危険性も。
・ひこばえ
樹の根元から出ている細い枝。(※株元から枝が豊富に出る性質の樹はこれに該当しません)
・徒長枝(とちょうし)
樹の幹や枝から勢い良く一直線に真上に伸びた細い枝。景観を崩し、風で折れる危険性も。
・逆さ枝
自然な枝の流れと逆方向に伸びた枝。美観を損ねる原因となる。
・垂れ枝
下り枝とも言う。下方に向かって伸びた枝。
◆バランスをみて切る忌み枝
・重なり枝
同じ方向へ接近して平行に伸びている2本の枝。樹形のバランスを崩すため1本を切る。
・車枝(くるまえだ)
熊手のように一本の太い枝から放射状に伸びた細い枝。日当たりや風通しに影響がある。
・絡み枝
他の枝に絡みついている枝。日当たりや風通しに影響があり、景観を損う。
・立ち枝
横に伸びずに直立に伸びている枝。樹形のバランスが崩れ景観を損なう。
・閂枝(かんぬきえだ)
十字のように幹から左右対称に横に伸びた枝。景観を崩す。
・懐枝(ふところえだ)
幹に近いところから生えている細い枝。日が当たらず風通りも悪いため害虫の温床となる。
・胴吹き
幹の根元付近から上方に伸びている枝。栄養を奪い樹の上部に栄養がいかなくなる。
枝の切り方
枝の切り方によって樹が成長したときの形が異なってきますので、切り方にも注意が必要です。
外芽を残して切る
枝を正面から見て、幹側に生えている新芽を「内芽」、外側に生えている新芽を「外芽」といいます。
内芽は幹側(内側)に伸びようとするのに対し、外芽は幹とは反対(外側)に伸びようとします。
横に手を伸ばしたような枝にするには、外側に伸びる外芽を残すように切ります。
内芽を残して切ると、芽が伸びたときに真っ直ぐ立ち上がったような枝になり、景観を損ねます。
残す外芽の5mm~1cmほど上部を、外側から内側に向かって斜めに切りましょう。
枝葉を残して切る
細い枝葉がついている枝を切るときは、枝葉を一つ残して切りましょう。
枝葉をすべて切って枝だけ残すと、残った枝は枯れてしまいます。
太い枝は2個所に切り込みを入れて切る
太い枝を根元から切る場合、上方から切っていくと枝自体の重みで裂けるように折れてしまいます。
いったん根元から20cmほど離れた個所で切り落とし、最後に根元から切り落としましょう。
まず、根元から20cmほど離れた個所に、下方から切り込みを入れます。(直径の半分まで)
次に、その切込みからさらに少し離れた個所に、上から切り込みを入れます。(直径の半分まで)
切り込みを利用して枝を落としたら、残った枝(20cmの部分)を根元から切り落とします。
剪定のポイント
剪定する際に気をつけなれけばならないのが、「全体のバランス」です。
手の届くところだけ丹念に切り落とし、手の届きにくい上部はそのままというのもありがちです。
自然の樹を見るとわかりますが、上部のボリュームが小さく、下にいくにつれてボリュームが大きくなるのが本来の樹のバランスです。
目隠し目的で形を揃える場合や、特別な図形に整える場合を除いて、通常の樹を剪定するときはこのバランスを意識しながら剪定しましょう。
◎失敗しない剪定の重要なポイントは以下の3つです。
1.上から切っていく
2.全体を見ながら切る
3.左右対称にしない
下から先に切っていくと、上にいくにつれてさらに短く切る必要があり、三角形の形に整えるために枝を切りすぎてしまう可能性があります。
上から少しずつ切り落としていきましょう。
美観を楽しむ樹の場合は、家の中と外から見たときの形、つまり樹から離れて見たときの印象が大事です。
一気にすべての枝を切り落とすのではなく、少し切ったら樹から離れて全体のバランスを確認しましょう。
また、樹本来の美しさを引き出すためには、幹から出る枝を左右対称にはしないことです。
十字架を縦に並べたように左右対称な樹よりも、左側に伸びた枝と右側に伸びた枝が互い違いのほうが、美しく見えます。